悪いことってどんなこと?

あらすじ

新聞をみて、犯罪や事件の多さにため息をつくママ。だいたい悪いことするのは大人でしょ?という、ゆっぴー(中学生)に、「あなたは悪いことしたことないの?」と問われます。すると先生に怒られたことを語りますが…
  • 動画を見てもらいましたね。どんな意見が出ていた?
  • 悪いことしちゃったことある? 具体的にどんなこと?
  • 自分のこと以外に、誰かとかテレビとかで見た悪いことは?
  • その悪いことは、誰に迷惑がかかってるの? その理由は?
  • 約束やルーツを守らないことが悪いこと?
  • ルールを破ることでも、みんながやってることだったら、やる? やらない?
  • みんなが破ってたら、ルールを破ってもよいのかな?
  • もしその約束やルールが間違っていたらどうする?
  • 絶対にやっちゃいけないことってあるのかな?
  • 悪いことをしている人には、何をしてもよい?
今回のテーマは「悪いことってどんなこと?」です。こどもたちがどんな理由で、考えで善悪の判断をしているのか、問うものでした。はじめに、自分たちが「悪い」と思っていることの具体的な経験や事例を聞いていきました。その上でなぜそれが悪いことなのか考え合っていきます。
私たちの試みでは、大きくわけて2つの事柄が悪いことだという意見が出ていました。1つは学校や親の決めるルールを破ること。これは親や先生との約束を破ることになるから、周りに迷惑をかけていなかったとしてもよろしくないとするもの。またその背景には、子どもたちの安全や平等を守ることが念頭に置かれていることも子どもたちは気づいていました。
もう1つは、学校や家庭を広くこえて、法律で禁止されていること。赤信号を渡るといった卑近な事例から、強盗・万引き・殺人などにも話が広がっていきます。こちらのほうはあえなく時間が来てしまって、なぜそれらが禁止されているのか問うことができませんでしたが。もしそれが問えたとしたら、社会や法律が禁止することの意味合いにまで発展できただろうと思います。
ルールを守ることと、それを破ってしまうこととの間の葛藤も子どもたちは経験しています。そのあたり、ファシリテーターが一つずつ条件を設定して聞き出す姿勢をもつことが重要です。ろうかを走ること1つとっても、自分以外のみんなが走っている、先生が走っている、ろうかを走る以上のやんごとなき理由がある、などケースによって各自がどう行動するか、比較しながら聞いていきました。そうすると、何があってもルールは破らないという子どももいれば、状況に照らしてより迷惑がかかることと、小さなルールを破ることとで結果を比較し、判断する子どももおり、意見の違いが明らかになっていきます。
今回小学1年生から6年生までが参加していましたが、各自が各自なりの倫理観や行動原理をもっていかに日常の行動をしているのか、垣間見ることができました。

F=ファシリテーター(指導者)
C=子どもたち それぞれの発言を指します。

F:動画をみてもらいましたね。それぞれどんな考えがでていた?
C:頭にある
C:胸にあるのだと思う。
C:体中。痛みを感じたりするから。
C:モノにも心が宿る。

F:今日のテーマは、「悪いことってどんなこと?」です。悪いこと、しちゃったことある人?
C:ある。お母さんに怒られるようなことした。
C:ぼく、親に怒られるの意外に得意。

F:じゃあ、親とか先生とかから怒られたときってどんなとき?
C:約束やぶっちゃったりとか。
C:学校のルールやぶるとかすると、先生から怒られる。
C:親とした約束とかルール、やぶったとき。

F:となると…人から怒られるようなことは悪いことってこと?
C:うん、まぁーそう。法律とかルールとか破ることは悪いことじゃない?
C:すぐに思い出せない。
C:ニュースとかでよくやってることとか。盗みとか、泥棒とか。
C:嫌だなぁって思うことをされたことがある。いじわるとか、いたずらとか。
C:友だちが体験したことらしいんだけれど、自分のノートの名前を消されて、とった人に取られちゃったってことがあった。
C:不審者とかによる犯罪とか。
C:友だちが授業中にめっちゃマンガ本とか小説読んでる。
C:先生の話聞いているふりして、折り紙折ってるとか、渡しまくってる。女子が。
C:そうそう、授業聞かずに遊んでる
C:授業中に寝てるとか。

F:その、授業中に授業を聞かない人ってだれかに迷惑がかかってるの?
C:あとで本人が困るんじゃない?その人が勉強しなかったり、成長しなくなる。
C:結果的に先生が怒って、注意したりとかして授業が中断する。みんなの授業時間が削られる。だから悪い。
C:まわりに迷惑がかかる。

F:先生にしかられることはやっぱり悪いことなの?
C:悪いことをしたから、怒られるのであって、先生に怒られること自体は悪いことではない。注意されているだけだから次をしないようにすればよい。
C:怒られることは、逆に自分にとってよいことなんじゃないかな?

F:それは具体的にどういうこと?
C:だって、そのあと自分が成長するためだから。注意されることでわかることもあるし。

F:先生や親が怒るのはなぜ?
C:大人だし、怒りっぽいんじゃない? C:間違ったことを、次やらせないようにするための、説教?みたいな。 C:それによって教えたり、反省させたりすることが大切なんだと思う。
C:先生が怒ったりするってことはやめないとしちゃったってことだから。

F:居眠りしたことはあるの?それは誰かに迷惑をかけてる?
C:居眠りしたことあるけれど、怒られない別に。顔あらってきなさいって言われる。
C:テストのときは全部終わったら寝てもいいって言われてるから。
C:別に誰にも迷惑かけてないんじゃない? 先生が授業を中断しない限りは。

F:じゃあ、周りに迷惑をかけることって具体的にはどんなことなの?
C:うーん、お金盗んだりとか。泥棒とか?
C:200円くらいだったらまぁ、だけどさ、ものすごい大金だったらさ、犯罪者になって、たくさんの人に迷惑をかけること。
C:ルールを破ったりとかしたら、よくないことだと思う。近くの大人が注意してくるし。
C:危ないこととかして、その人がケガをしたら、大人に迷惑がかかる。その人も死んじゃうかもしれない。

F:ルールを破るのは悪いこと?
C:学校にね、危ない遊具があってね。遊んじゃいけませんって書いてあって。その遊具は危険だから遊んじゃだめってルールがある。遊んだ人がケガしないように書いてあるから。

F:学校にルールはある?
C:廊下走っちゃいけないとか。
C:休み時間必ず校庭で遊びなさいとか。
C:登下校のとき校帽をかぶるとか。

F:それはなんのためにあるの?
C:帽子をかぶるのは、どこの学校の生徒かわかるようにするためだって校長先生が言ってた。
C:子どもを危険から守るためじゃないかな。廊下をはしると人とぶつかって危険だし。

F:そのルールを破るのは悪いことなの?
C:決まりごと、約束をやぶることだから、いけないことだと思う。
C:破ったとしても、同じことを繰り返したらもっと悪い。
C:そのルールって誰がつくってるんだろう?
C:校長先生がつくってるんじゃない?
C:学校がはじめてつくられたときの、大人たちとか?
C:掲示板に、ここに紙を貼ってはいけませんってルールが貼ってあったけれど、それってルールを書きながらルールを破ってるよね。
C:悪いことをした人がいると、ルールが増えていく。状況に合わせてルールは作られる。
C:ルールは安全とか、みんなが楽しめるようにとか作られてるから。

F:ルールを破っちゃったときってどうしてるの?
C:ある。急いでたから、廊下走っちゃった。
C:トイレにすごくいきたかったから。
C:友だちが逃げていったから、追いかけた。
C:外遊びをしなさいってルールがあるから、たくさん遊ぶために走った。
C:友だちが廊下走ってたら、ガラスに突っ込んだことがある。ろうかは走ったら危険だって思った。
C:友だちもみんな、1年~6年生までみんな走ってるもん。
C:1年生に注意されたことがある。ろうかは走らないでねって。

F:となると? みんながやってたら、ルールは破っちゃっていいの?
C:ダメはダメだけど…。
C:年上の人がやってたら、下の人もやっちゃえってなるから。うーん。よくないんだけれどね。
C:赤信号のときは、みんながやってても、わたっちゃいけない。
C:「赤信号 みんなで渡れば怖くない」って言葉があるけど。。。
C:ダメじゃん!

F:赤信号です。いくら道をみても人も車もいなさそうだ。として、赤信号はわたる?
C:ときによって渡るかも。
C:ふつうは、渡らない。ふつうは。
C:信号がないところで、斜め横断する。わたっていい理由をつくる。
C:だって車きそうにないんでしょ。いくら確認しても。だったら渡る。待つのめんどくさいし。
C:私は、渡らない。昔、点滅のときに渡ろうとしたら、車がバーッてきて、すっごい怖い思いをしたことがあるから。
C:そんな経験があったら、渡れなくなるよね。
C:ぼくも昔、赤信号をやぶって渡ったら、車とぶつかったことがあって。二度と渡らないって思った。
C:赤信号で渡っちゃったときは、なんか車がくるかも?とかひかれるかもっていう怖さよりも、ルールや法律をやぶっちゃったってことのほうが気持ちが怖かった。

F:なるほど。具体的に怖い経験をしたりすると、ルールは守ろうって気持ちになるわけですね。ろうかをはしっちゃいけないについては? 廊下をはしったとき、悪かったなって思ったら誰かに報告する?
C:別にしない。
C:先生が走ってるところ、めっちゃ見てるし。
C:まわりもたくさん走ってるから、そのたびに毎回保国していたらめんどくさいことになりそう。

F:となるとさ、やっぱりみんながやってることはルールを破っててもしてよいってことにならない? 廊下をはしるだったけれど、それがもし泥棒だったら? なにか違う?
C:違う。全然違うと思う。
C:泥棒をしたとしても…バレなかったら…つかまったりしないの?
C:しないんじゃない?たぶん。
C:万引きと泥棒は違う。 万引きは店のものを盗むけれど、泥棒は人の家のものを盗むこと。
C:廊下をはしっちゃいけないは、先生が決めたことだけど、泥棒や万引きはもっと広い、法律でダメだってされてることだから。

F:論点はここだね。「みんながやってること」だったら、何をしてもよいのかい?ってことだね。どう?
C:別にみんながやぶってるからって、やぶってるわけじゃない。そこには自分の意志や理由がある。
C:じゃあ、廊下を走れって親とか先生に言われたら??
C:は?なんでって聞く。先生がダメっていったんじゃんって。
C:学校で家の人と三者面談をするようなときだったら? 親が間に合わないから走ろうって言われたら?
C:それは…仕方なく走る。
C:それは、早歩きをする。
C:そもそも親は言わないと思う。
C:廊下を走ることはしょっちゅうやってるから、誰かに走れって言われたらなおさら走るね。
C:たぶん、廊下を走ることと、面談に間に合わないことだったら、面談に間に合わないことのほうが回りへの迷惑がかかるから、そこで判断する。

F:絶対にやっちゃいけないことってあるの??
C:殺人じゃない。
C:泥棒。万引き。
C:痴漢。
C:法律を破ること。

F:それをもし見ちゃったら? どうする?
C:呼びかけて止める。赤信号とか。
C:でも自分が危険にあうかもしれないよ。泥棒とか武器もってるかもしれないし。
C:逃げる。危ないから。
C:近くにいる大人に伝える。
C:警察とかに言う。連絡する。
C:でも泥棒とかって見た目で判断できないじゃん。一般人かもしれないし。
C:うちの家をあさってる人がいたら、窓から突き落とす。

F:悪いことをしている人がいたら、その人には何をしてもよい? 突き落とすとか。
C:うーん、それはどうだろう。正当防衛?
C:しかたないときがあるように思う。だって怖いし。

F:はい、ありがとうございました。時間がきたので今日の話し合いはおわりです。


※これは小学1年生~6年生までの子どもたち8名が、1つの輪になって話し合った記録です。