もし生まれかわるなら?

あらすじ

学校で男の子とケンカした ゆっぴー(中学生)。男子のほうが力が強いのにすぐぶってきて、ずるい!と言い出します。母親から、「男の子と女の子だったらどっちに生まれかわりたい?」と聞かれると…
  • もし生まれかわれるなら…何になりたい?
  • その意見の中で自分の考えに近いものはある? 理由は?
  • 今の自分と別の性別になりたいって人は? その理由は?
  • 今の自分と同じ性別でいいって人は? その理由は?
  • 今の性別で困ったことってある?
  • 男子だから、女子だから〇〇だっていえることはあるかな?
  • 大人の男性と大人の女性だったらどっちが大変そう?
  • 人間以外になりたいって人はいる? その理由は?
今回のテーマは「もし生まれかわるなら?」ですが、私たちの意図は、男と女という性差の問題を子どもたちと話し合うことでした。男と女、どっちがよい?という問いよりも、自分とは違う性の存在を想像しながら話し合うことができると考え、このような問いにしてみたのです。
私たちの試みでは、多くの子どもが現状の性のままでよいと答えつつも、出産という女性特有の出来事だったり、クラスの中での異性とのかかわり方から感じる異性のもつ特徴から、別の性になってみたいという意見もしばしば。また、大人の男性・女性はどちらが大変そうかという問いかけでは、両親やアニメ・マンガの世界の性別役割についても触れられていきます。ここでの話しあいでは、大人の女性のほうが大変そうだ、という意見が多く、仕事や家事・育児、子どもが病気になったときの対応など、母親の大変さを子どもたちが考える形となりました。
しかし、男子は、女子は、父親は、母親は〇〇だ、とは言い切れないという事実にも子どもたちは気づいていて、家事をたくさんする大人の男性もいるし、たくさん働く女性もいる。すぐぶったりケンカをしない男の子もいれば、やんちゃが好きな女の子もいる、など、それぞれの個性のほうが性差よりも現れるということを理解しているようです。
F=ファシリテーター(指導者)
C=子どもたち それぞれの発言を指します。


F:今日の「もし生まれかわるなら?」です。そんなこと考えたことある人はいる?
C:あるー!よく考えるよ。
C:私は、犬になってみたい。
C:ぼくは猫。
C:私は人間がいいけれど、別の国の人になってみたいかな。
C:私は男の子。やってみたい。

F:じゃあまず人間から聞いてみようか。生まれかわるなら、男の子? 女の子? どっち?
C:ぼくは今のまんま、男子がいい。
C:私は、うーん。今のまんまでも悪くないけれど男子かな。
C:私も男子。
C:記憶が残るなら女子!今、男だから。
C:オトコ、今女子やってるから。
C:男、楽だから。男です。今の生活に不便を感じていないから。

F:どうしてそう思うの? 女の子から男の子に手をあげた人、理由は?
C:体力が男の子のほうがやっぱり強いから
C:サッカー選手になりたいの、将来。プロチームは男子のほうがたくさんある。
C:トイレが楽そう(笑)
C:男かな。化粧をしなくていいから。めんどくさそう、あれ。うちのお母さんとかめっちゃ時間かかってるし。
C:欲しいものがないときに長くお店をみるのがイヤ。買う必要がないものを買ってお金をなくす。

F:逆に男の子から女の子はどう?理由は?
C:将来、子どもが産めるから。死ぬほど痛いらしいけどね。
C:子育てができるから。
C:女子のほうが、友だちと仲良くしてる。男子だとすぐケンカになったり殴り合いになるから。
C:うん、そう。変なイジワルとかされなくてすみそう。

F:今のまんまって人は?
C:やっぱ、断然男がいい!。
C:だって別の性別になったらどうやって暮らしてよいかわからないもん。服とかさ。また買いなおさなきゃだし。

F:今の性別で困ったことってある?
C:べつにー。
C:とくになーい。
C:うーん、男子にイジワルされてこまる。
C:ぶたれたりするし。なんで男子ってすぐぶつの?
C:え…。なんかイジワルしたくなっちゃうんだよね。
C:女子はさ、すぐ先生にチクったり、先になんかいろいろ言われるんだもん。
C:あとはね、机運び。男子がよく手伝わされる。
C:運動会の時のサッカーゴール運び。女子から男子は力仕事をやれって言われた。
C:逆に私は、女子はきれい好きだから細かい事をやれって言われた。

F:そういうさ、男子だから、女子だからこれが得意とか、適してるってあるかな?
C:うーん、あるような気がする。男子は青が好きとか。
C:でも私、女子だけど水色好きだよ。
C:マラソン選手とかさ、男子も女子も速い人は速いじゃん。あんま関係ないんじゃないの?
C:すべての男子が運動得意なわけじゃないし。
C:それは女子もそうだけどね。すべての女子が細かいことが好きなわけじゃないじゃん。

F:大人の男性と大人の女性だったらどっちが大変そう?
C:大人の女性のほうが大変そう。
C:比較的、女性のほうだと思う。

F:どうしてそう思うの? 
C:だって仕事しながら子育てもしないといけないから。
C:ごはんつくったり、掃除したりしないといけない。

F:私は子どもが生まれるまえはずっと男の子になりたかったんだけど、子どもが生まれたら女でよかったなって思ったよ。
C:なんで?
C:もっとくわしく…。

F:子どもがうまれた瞬間に、体中が幸せになったの。
C:まじで? 子ども生むのって、ちょー痛いんじゃないの?
C:鼻の穴からスイカがでるくらい痛いんでしょ?

F:そういわれているけれどね。生まれてきた瞬間はやっと会えたって感じでうれしかったよ
C:わかる、その気持ち。

F:…え?わかるの?
C:なんとなくだけどね。うちの猫が子ども生んだとき、私も喜んだもん。

F:話を戻そう。大人の女性のほうが大変そうって意見が多かったけれど、大人の男性はそんなに大変ではないの?
C:うーん、男性は、朝から夜まで働かないといけないから、それも大変。
C:でも、家事や子育てをする男性もいるよ。
C:逆に、仕事をたくさんしている女性もいる。
C:さっきは女性に手をあげちゃったけれど、どちらが大変かなんていいきれないかも。

F:みんなのクラスの男女は仲はどう?
C:まあまあかな。
C:先生に男女で遊びなさいってよくルールで言われる。一緒に遊んで楽しいときもある。
C:でも、女子の方がクラスでは強い、権力を持っている。

F:権力があるってどういうこと?
C:なんか、先生とよく話してるから、先生に好かれている。
C:すぐチクるもんな、女子。
C:なんとなく、女子の方がしっかりしていると思う。
C:先生からは、男の人は女の人に優しくって言われる。
C:女子は弱いという印象が先生にはついているから、男子の方が怒られるんだよね。
C:だいたい、女子は、女子で固まっているから、何かあった時は男子が怒られる。

F:それは男女の仲が悪いってこと?
C:”みんな仲良くする”が目標だから、一緒に遊んでいるし、必ずしも仲が悪いわけではない。
C:意見が対立しているだけで仲が悪い訳ではないよ。
C:だいたい、クラスのお楽しみ会とかで何して遊ぶって話し合うときに、男子はドッチボールやサッカーで、女子はそういうんじゃなくて、対立する。
C:ドッジボールのときだいたい、「かすった」か「かすってないか」でもめる。
C:そうやってもめた時に、じゃんけんで決めるのが男子。話しあいで決めるのが女子。
C:わかる。男女でもめたときの決め方が違うんだよね。だからもめるの。

F:男子だからジャンケン?女子だから話し合い? これって全員に当てはまるの?
C:うーん、個性じゃないかな。
C:女子は冷静だから? ジャンケンが弱いやつ人もいるし、不公平をなくそうとしてる。
C:男はスイッチが入ると駄目だからねー。すぐぶったり叫んだりして。
C:意見が対立することは仕方ない。
C:女子でもジャンケンを選ぶ子いるよ。
C:やっぱり男だから、女だからって決めつけられないと思う。

これは小学1年~6年までの子どもたち12名で話し合った記録です。